離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
いつもと違う和也さんの様子が、怖い。だけど、それを悟られないように大きく深呼吸をすると、私は出来るだけ冷静さを装って声を絞り出した。
「……あの」
「ん?」
「どうしてですか。離婚予定日に、予定どおりに。そう言ってくれたはずです……っ」
どうにか、身じろぎをして逃れようとする。
彼は、私の意思を尊重してくれたはずじゃなかったのか。確かにそう言ったのに。
目の前の黒い瞳に、飲み込まれそうになる。これほど近くでこの目を見るのは、もう何度目だろう。真っ黒で、見つめられるたびに、いつも先に逸らしてしまうのは私の方だった。
だけど今日は、それも許されそうにない。彼の片手が私の頬に添えられ、顔を背けることも出来なくなった。
「今日はその話をしに来たはずです」
心臓が苦しい程に高鳴って、彼に伝わってしまわないか心配だった。
私の言葉に、和也さんからの返事がない。代わりに、頬にあった手がゆっくりと動き出し、首筋を撫で下りて指先が鎖骨に触れた。まるで脅しのようだと思う。
こんな彼は、見たことがない。