離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

「んっ……やだっ」


 くすぐったいほどことさら優しいそのキスは、こめかみ、耳珠へと柔らかく敏感な肌に移動していく。触れた唇の隙間から、僅かに覗いた濡れた舌が肌を騒めかせ、自分の意思とは関係なく身もだえてしまった。

 ふ、と笑ったような吐息の音がした。耳元から少しだけ顔を上げた彼と、至近距離で視線が絡む。まるで絡め取られたみたいに逸らすこともできずにいると、微かに唇同士が触れあった。胸の奥が苦しくて、背筋がぞわぞわして、押し返そうとする手も碌に力が入らない。


「いずみ、もう観念して」


 唇の柔肌をくすぐるように喋られて、ぎゅっと目を閉じた。それは決して、肯定の意味ではなかったのだけれど。
 もう戻れないと悟ってしまった。こんなキスをしてしまったらもう、たとえ離婚届を出したところで、社長と秘書には戻れない。
 私の意識を溺れさせてしまう濃厚なキスの感触はまるで、それを私に教えるためのもののような気がした。

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