離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
「や……やめて」


 本当に、このまま?
 私がずっと頑なに、彼を許そうとしなかったから?

 和也さんは、こんなことをする人じゃなかった。
 ぼろぼろっと涙が零れた。悔しまぎれに、握りこぶしを作って思い切り和也さんの胸にぶつける。
 ドン、ドン。と二度叩いたら、ようやくキスが離れてくれた。それでも私の真上からはどいてくれない。


「……こんなのひどいっ!」


 もう一度叩く。涙で視界が滲んで、今和也さんがどんな顔をしているのかわからない。すると、大きな手が私の頬を撫でて親指で涙を拭い去る。

 ぱちぱちと瞬きをして、ようやく見えた和也さんの顔はなぜか嬉しそうな苦笑いだった。


「な……な……」


 なんでそんな嬉しそうな顔をしているのか。しかも、さっきまでのような官能的な空気は少し和らいでいる。
 碌な言葉も出ないでいると、和也さんが申し訳なさそうに「ごめん」と言った。


「だけど、やっと秘書の顔じゃなくなった」

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