離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

「……え?」
「こうでもしなきゃ、もう何の感情もみせてくれなかっただろう」


 言いながら、キスで目尻から流れた涙を吸い取る。それから、額同士をこつんと合わせた。


「秘書じゃない。ちゃんといずみと話をして、いずみに弁解して、いずみに謝りたかった」


 確かに、逃げ出したあの日から一切の感情を隠した。あんなみっともないところを、もう二度と晒したくなかったから。
 秘書として接していれば、感情を見せずにすむから。


「あの時言った苦情、もう一度全部聞かせて欲しい。ひとつひとつ答えるから」


 あんな自分をもう二度と見せたくないから、そうしていたのに。そんなことは出来ないと顔を横に振れば、また涙がぼろぼろ出た。しかも今度は、止まらない。


「いやだ、あんなの、見せられない」
「俺は見せて欲しい。澄ました顔をされるより、可愛かった」


 そんなわけないじゃない、と思う。だけどもう、私には彼から逃げるために強がることもできなかった。

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