離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
ファッション業界大手ブランドの会長からの縁談。大型ポータルサイトのネット、アプリのシステム開発の依頼が飛び込んだ、すぐ後のことだ。そのサイトのレディースファッションジャンルで主力になるブランド会社だった。
打合せと交友を深めるためという名目で招かれた会食の席で、孫娘だという女性を紹介された。正式なものではなかったが、打診されたも同然だった。
「圧力に押し負けて望まない相手と結婚するよりは、ひとつだけ提案があるのですが」
はっきりと申し込まれた後だったら、この手は使えなかった。不幸中の幸いというやつか。二年一緒に働いて、社長からの信頼は得ているとの自負があった。だから、私から提案した。
書類上だけ婚姻届けを出してしまおうという、いわゆる契約結婚だ。別に式を上げる必要はない。仕事のパートナーとして婚姻関係を結ぶ。
冷え切った夫婦の成れの果てを見た私からすれば、最初から特に結婚に憧れはなかった。両親とは疎遠だし、婚姻届を提出したからといって報告する必要もない。
もちろん、お互いにずっとというわけにはいかないから、とりあえず三年。
いまどきバツイチなんて珍しくもなんともないし、今のところ仕事が面白くて恋人を作る気もない私からしたら、躊躇う理由などどこにもなかったのである。