離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
最初は、独特の雰囲気にちょっと落ち着かない気分になったけれど、和也さんと目が合うと意味もなく微笑みあって、さほど時間も置かずに慣れてくる。
「こんな風にのんびり歩いたのは初めてですね」
「そうだな。退屈だったか?」
「いえ、全然」
引っ越し先を探して来たはずなのに、途中からそんなこと何も考えずに歩いていた。話しながら歩いた、ただそれだけなのに気分は随分リフレッシュできた気がする。
「楽しかったですよ」
思ったままそう言うと、和也さんが嬉しそうに破顔する。どきんとしてなんとも照れ臭い感情に襲われたとき、更に彼は言った。
「いずみとこんな時間を持ちたいとずっと思ってた」
「え……」
どういう意味、と尋ねる言葉が続かない。ただ驚いて目を見張る。そんな私を、和也さんの黒い瞳が優しく見つめ返してくる。
どういう意味に受け取ったらいいのか、わからない。わからないのに、心臓が高鳴ってしまっている自分が、恥ずかしい。