翼のない鳥
「期限は体育祭まで。つまり約3週間ね。それまで律クンと美鶴チャンには生徒会メンバーとして一緒に行動してもらう。」
「は?」
生徒会メンバーとして。
これは、俺たちが前々から考えてきたこと。
今の生徒会には、2人の欠員がある。
女子副会長と、生徒会監査。
これを美鶴と、彼にやってもらえないかと思っていたんだ。
理由は、まあ単純に興味があったから、だけど。
「それまでに、俺たちが律クンの弱みを手に入れられたら俺らの勝ち。2人にはそのまま、生徒会として一緒にいてもらう。律クンが隠し通せたら、律クンの勝ちだよ。退学でもなんでも、認めてあげよう。」
「ちょ、茜、何言ってんだ。弱みって・・・」
たまらず口を挟むけど、スルーされる。
お前もスルーすんのかよ!
完全に2人の世界って感じだ。
「つまり、律クンが俺らのうちだれかに脅迫材料を渡した時点で負けってわけ。」
ピリピリした空気が2人の間にあって、入っていけない。
「・・・その勝負、のった。」
小さく、でもはっきりと、彼は言った。
それに茜は満足したように笑う。
「じゃあ決まりだね。美鶴チャンには俺らから言っておくよ。―――これからよろしく、律クン?」
挑発するように名前を呼んだ茜を弟―――律は忌々し気に睨んで、
「体育祭まで。」
言外に負ける気はない、と宣言し、そのまま生徒会室をあとにした。