翼のない鳥


「じゃあそれ、運動音痴ってことでよくね?」

だってそうだろ。

運動してないならイコール運動音痴でいいんじゃないか。


けど、美鶴は首をふった。


「でも、多分律、運動神経いいよ。」

「なんだその矛盾。」


なぜそう自信満々に言いきれんの!?


「だって律、ふとしたときにすっごく良い反射神経披露するもん。私がスマホ落としそうになったときは、結構遠くにいたはずなのに、一瞬で近寄ってきてキャッチしちゃったり。あ、あと、イギリスにいた時のことなんだけど、変な男の人たちに絡まれちゃったことがあって。殴られそうになったとき、いつのまにか現れてその拳を止めてくれたの!で、5人くらいいたゴッツイ外国人を一発で急所をしとめてみんな気絶させちゃったの!」


いつのまにか瞳を輝かせて律の武勇伝を話し始めた美鶴。


っつかそれって・・・



「え、律めっちゃやばくね?運動音痴とかじゃなくて、実はすっごくできるやつじゃん。」


俺、スポーツ大好きだし運動神経もそれなりに良いつもりだけど、今美鶴が言ったこと全部できそうにねーもん。


「できないんじゃなくて、しないってことか。」


うわ、それなんかむかつくな、と言いながら司が整理する。


・・・うん、ムカつく。

マジでアイツ、可愛くねえ。

別に可愛さなんて求めちゃいないけどさ!

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