病んでる僕と最強の勇者たち
(エドモンドの言葉はハッタリでもウソでもない。

エドモンドは自分の言葉に確信を持っている)



僕はエドモンドとの実力差を感じながら、大切な細身の剣を両手でしっかりと握りしめた。



(でも、たとえ実力差があったとしても、僕はエドモンドに勝たなくてはならない。

それがたった一度の奇跡であっても……)



そんなことを思い詰めながら剣を握りしめている僕の元に、リリーがいつの間にかやってきて、僕の顔を下から見上げていた。



そしてリリーは僕を見つめながら、僕に優しく話しかけてきた。



「明彦君。

リリーの魔法は鎧の人には通用しなかったけど、リリーが明彦君に魔法をかけることはできるよ。

リリーの魔法は攻撃に特化した魔法ばかりだけど、その魔法の一つで、リリーは明彦君を強くすることができるんだ」



そう言ったリリーを僕が真顔で見つめると、リリーは小首を傾げて微笑んだ。



僕はそんなかわいらしいリリーの笑顔を見つめながら、奇跡が起きるその瞬間を期待していた。
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