病んでる僕と最強の勇者たち
「城門にでっかい穴が開いたぜ。

リリーの魔法はやっぱりすげぇな」



ブライアンがそう言ってリリーを褒めると、リリーもまんざらでもない様子で、うれしそうに微笑んでいた。



「オレはこのお城の最上階に闇の魔王、ダーギルがいると思う。

だからみんな、このお城の最上階を目指そうぜ」



ブライアンがそう言ったとき、マギーはブライアンのその言葉に流されず、胸のうちにある疑問をブライアンに聞いていた。



「なぜブライアンは闇の魔王、ダーギルがこのお城の最上階にいると思うんだ?

その理由を教えてくれ」



マギーのその言葉を聞いて、僕はマギーと同じ疑問を抱いた。



なぜブライアンは、このお城の最上階に闇の魔王、ダーギルがいると思うのだろう?



その根拠はいったい何なのか?



そんな僕たちの疑問を払拭するかのように、ブライアンは自信たっぷりにこう答えた。



「昔からラスボスはお城の最上階にいるって決まってるんだ。

そうじゃなきゃ、物語が締まらないだろ?

だから闇の魔王、ダーギルは、このお城の最上階にいるに違いないんだ」



ブライアンのこの単純明快な答えは、リリーの考え方とどことなく似ている。



ブライアンとリリーはあまり考えることを好まず、直感と感情で動くタイプだ。



僕にはそんなブライアンの直感が当たっているように思えた。



闇の魔王、ダーギルはこのお城の最上階にいる。



僕はそんな気がして仕方なかった。
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