病んでる僕と最強の勇者たち
「リリーの魔法は世界一。

リリーはかわいいだ~けじゃないぞ。

リリーの魔法に恐れをなしたか?

いけ! リリー! て~きを倒せ!」



ベルミータ国のお城に向かう途中で、リリーは上機嫌で自作の歌を歌い出した。



リリーはどんな状況にいても楽しめる才能があるらしい。



ブライアンはリリーの歌に合わせて鼻歌を歌い、マギーは真剣な顔で真っ直ぐに前を向いて歩いていた。



どうやら最強と呼ばれるくらいになる人は、特別な個性を持っているらしい。



僕はそんな個性的な仲間たちと、楽しい雰囲気の中にいると、あんなに張りつめていた気持ちが少しずつ緩んできていた。



でもそんなとき、森の草木がガサゴソと大きく揺れた。



そしてその草木の中から現れたモンスターを見て、僕はびびった。



体長八メートルはあろうかという巨大な虎のモンスターが僕たちの行く道の前に立ちはだかり、僕たちの行く道を塞いでいた。
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