秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~

手を差し出されて、私は「こちらこそ!」と慌てて握手に応じる。大企業のご令嬢というイメージとはどこかズレていると思いながら思わず翔悟さんを見上げると、私の気持ちを見抜いたような苦笑いが返ってきた。

彼女は、そんな私たちのやりとりを気にかける様子もなく、翔悟さんへと体を向けた。


「ごめんね、翔悟君。ふたりが来てから、私も翔悟君のお祖母ちゃんに言おうと思ってたんだけど、姿を見かけたから我慢出来ずに伝えたの。翔悟君とは結婚したくないって。そしたら怒らせちゃったみたいで、そのままどこかに消えちゃったのよ」

「そうか。きっと秘書からも俺に怒鳴られたと報告がいったのだろう。居場所なら見当がついてる。きっちりふたり分の気持ちをぶつけてくるよ」


そう言って、翔悟さんが私の肩を抱き寄せた。彼がそばにいるだけでこんなにも心が強くなる。亜裕子さんはふふっと笑ってから、ソファーからバッグを掴み取った。


「私の援護射撃は必要なさそうね。私の気持ちはすでに伝えてあるし、逆に余計なこと言って拗らせちゃったら申し訳ないから、ここで退散するわ。上手くいくように祈ってるから」


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