秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~

彼の自信が、力強く伝わってくる。会長もそれを感じ取ったようで、うまく反論の言葉が出てこない様子だった。一方、翔悟さんは手を緩めないとでも言うように、眉根を寄せて会長を鋭く見据えた。


「好きでもない相手と結婚しても、孤独しか生まれない。父と母が良い例だ。それを見ているのにまた強制するってことは、俺に心を殺して生きていけというのか」


彼はこの家で孤独と共に成長したのかと思うと、胸が痛くなる。けど、もうひとりじゃない。私が彼のそばにいる。そんな思いを込めて繋いだ手に力を込めると、会長を真っ直ぐに見つめていた翔悟さんの口角が僅かに上がった。


「穂乃果は俺に安らぎを与えてくれる。ずっと気を張っている状態だったのに、そばにいる時だけは無防備でいられた。彼女とふたりでなら、いや三人でなら、こんな俺でも温かな家庭を築ける」


そこで翔悟さんは息をつき、緊張を解いた。会長に向ける眼差しも、幾分やわらぐ。


「うちの家族で誰かをちゃんと愛しているのは、祖母さんだけだ。ヒルマ物産をこれほどまでに大切に思うのも、愛していた祖父さんから託されたものだからだろ? けどもう肩の力を抜いて、背負っていたものを俺にすべて渡してくれ。天国にいる祖父さんを唸らせるほど、俺がヒルマをもっと大きくしてみせるから」

「……翔悟」


< 115 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop