秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
「私は外でお待ちしておりますので、どうぞ中へ」
翔悟さんは「ありがとう」と声をかけて私の手を掴むと、ホテルマンをその場に残し、ゆっくりと内部へ歩を進めて行く。もちろん私も手を引かれて歩き出すが、周りに気を取られ過ぎて、なかなか先に進めない。
「ホテルにチャペルもあると聞いて、数分で良いから見学させてもらえないかって言ってみたんだ。そしたら、うちのホテルを式場の第一候補にしてくれるなら、好きなだけ見学してくれて良いってさ」
「そうだったんですね」
その時のやりとりを思い出したのか、翔悟さんがちょっぴり楽しそうに笑うから、私もつられて笑顔になる。
聖書台の前で立ち止まると、どちらかともなく私たちは向かい合う。
「未来の練習してみようか」
「練習ですか?」
翔悟さんはにやりと口の端を上げる。そして「ええと」と僅かに瞳を伏せてから、真っ直ぐに私を見て、すっと息を吸い込んだ。
「俺、蛭間翔悟は、健やかなる時も止める時も大畑穂乃果を愛し続けることを誓います」
そっと手を掴み取られ発せられた言葉に、胸が熱くなる。感動で声を詰まらせた私へと、翔悟さんが「はい、次どうぞ」とあっさりした口調でバトンを投げてきた。