秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
以前会社の一階ロビーで見かけた翔悟さんに続いて歩いていた彼女は、いったい何者なのだろう。翔悟さんとどんな関係なのか。モヤモヤと胸の中で渦巻き生まれた負の予感を、必死に気づかないふりをした。
昼休みに入り、自分のバッグから取り出したお弁当箱の蓋を開けたところで、沙季の不機嫌な顔が横から視界に割り込んできた。
「えー。ちょっとー。やっぱりいるんでしょ? もー教えてよ、穂乃果の意地悪」
突然の抗議に数秒呆気にとられてから、少し互いの距離が近い気がして、彼女の両肩をそっと手で押し返す。
「……何のこと?」
「朝から、服が昨日と同じだなぁと思ってたの。そしたらお弁当の見た目がいつもより華やかで……、それって彼氏の分も一緒に作ったからじゃないの?」
メインは唐揚げや鮭と定番ではあれど緑や赤の野菜も忘れず入れたし、いつもはしていないけれど、目でも楽しんでもらえるようにとハムとチーズをぐるぐる巻いたものを可愛らしいピックで止めてみたり、ゆで卵の飾り切りもした。
その辺りから感じ取ったのだろう女の勘鋭さを目の当たりにし、私は引きつった笑みを浮かべる。注がれ続ける追求の眼差しに良心が痛みだし、私は躊躇いながらも小さく頷く。