秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
「今日の昼に、あの子が手作りらしきお弁当を食べているのを見かけたけれど、それもあなたが?」
正直に言ったらまた睨まれそうで答えたくなかったが、突き付けられる眼差しの圧力に負け、私は小さく頷く。
「はい。私が作りました」
「やっぱりね。中身が……質素だったから、そうだろうと思いました」
ふっと鼻で笑った後に続いた言葉に、初めて怒りの感情が芽生えた。相手はヒルマ物産の会長で、庶民の私とは生活のレベルが元々違うのはわかっている。私のお弁当は見すぼらしく見えたのだろう。けれど私だって、翔悟さんの口に入るものだからと、彩だけでなくしっかり栄養のバランスも考えたし、何より喜んでもらいたくて頑張ったのだ。簡単に笑い飛ばしてもらいたくない。
わずかに眉根を寄せると、会長も浮かべていた笑みを引っ込めた。
「気を悪くさせたかしら。でも亜裕子さんがよく差し入れてくださるお弁当とは雲泥の差だったから。翔悟もさぞかし驚いたことでしょう」
亜裕子という聞き覚えのない名前が飛び出し軽く混乱する私に、会長は勝ち誇ったような顔をする。
「聞いてないのね。今翔悟は、亜裕子さんとの婚約の話が進んでいます。あなたもそのつもりで、割り切ったお付き合いを」