秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~

そういう話があるとはひと言も聞いていない。可哀想な子ねといった口調に、きっちりと線引きするかのような厳しい響きが徐々に混ざりだし、私の心に容赦ない痛みを与える。


「婚約の話を邪魔したり、彼の経歴に傷をつけるようなことをするようなら、こちらも黙ってはいませんよ。翔悟はいずれヒルマ物産を継ぐ身、所詮、あなたとは生きる世界が違うのです。身の丈にあった相手を選ぶことね」


迫力のある眼差しに射竦められ、私は言葉を発することなくただ呆然と立ち尽くす。
重い沈黙が場に落ち数秒後、会長の後ろに控えていた秘書の男性が「会長。そろそろお時間が」と小声で申し出た。

会長は肩越しに彼を見やりながら、「分かっています」と気だるげに頷く。最後にもう一度だけ私をひと睨みしてから、会長は歩き出す。


「彼女の所属と名前を、一応調べておきなさい」


会長が秘書の男性に命じた声を耳で拾う。自分の運命を握られた気持ちになり、心が凍りついた。

遠ざかっていくふたつの背中が視界から消え、私は小さくため息をつく。翔悟さんと別れたくない。けれどこのままお付き合いを続けたら、辞職を迫られるかもしれない。

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