好きなんだから仕方ない。
どれくらい時間が経ったのかは知らない。何度眠りかけたかは分からない。でもやっと、彼女が話をしてくれた。それだけで俺には十分の進歩だから。
立ち上がって扉に触れると少し押しただけで開けられた。さっきはどれだけ力を入れても開かなかったのに。でも、そうか。ここは神の住み処なんだ。彼女が入る事を受け入れてくれた。そう捉えて良いのかもしれない。

「君が・・・、君があの声の主なんだな・・・?」

「えっと・・・、あなたは・・・?」

「俺はガドウ。もう、俺たちのために泣かないでください」

自分でもどうして俺たちのためなんて言ったのかは分からない。でも、どうしてだろう。会って気持ちが高ぶりすぎたからなのか、俺と他の人のために悲しんでいるんだと思えたんだ。
彼女の見た目は思ったよりも小さくて細かった。両方の手の平に乗っているけれど、全然片手で足りるくらい。肩に乗れば重さなんて感じないだろう。でも、立派な翼が異様なほど目に入る。
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