好きなんだから仕方ない。
いや、本当にそうなった時は言葉など出てこないだろう。嬉しい、辛い、怖いなんて本当に抱えきれないほど大きくなってしまった時は分からないものだ。大きすぎて自分が今、どの地点にいるのか分からず感覚が鈍ってしまう。ただ勝手に涙が溢れてしまう。

「綺麗に見えてくれるかな?」

「見えるさ、きっと」

「俺もそう思う!」

彼女もそうだった。初めて声をかけてくれた時、初めて会話が出来た時、初めて姿を見れた時。いつも気付いていないのに泣いていた。
砂漠や大きな建物の中で迷子になった時のような物なのかもしれない。最初はどの辺りにいるのか何となく把握出来ているんだ。なのに、目的地や会いたい相手を探している内に混乱と焦りが冷静な判断を出来なくさせる。時間が経てば経つほど不安にかられ、本当にここで良いのか自分が間違っているのではないかと自分一人では手に負えない状況になってしまう。
< 258 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop