一匹狼くん、 拾いました。弐
インターホンを押すと、速攻でドアが開いた。
「仁、えっと聞きたいことは色々あるんだけど……康弘さんとは話した?」
部屋の中に入るように促してから、結賀は聞いてくる。
「話した。喧嘩した。鈴音がいたから。泊めて」
「ものすごい説明雑だな? んーいいけど、三者面談は頼んだ?」
「……頼んだ」
結賀は俺の頭を撫でる。
「そうか、ならよかった。飯は食べてない?」
「うん。焼肉屋から逃げてきた。歩いて」
「ええ? なんで焼肉から……いや康弘さんと鈴音からか。妹だよな。康弘さんの連れの子」
俺の腕を触って尋ねる。皮が剥けているとわかったのかもしれない。
「鈴音が母さんから香水もらったって。しかもそれ、母さんが昔毎日つけてた香水と同じ匂い」
「仁、その腕これ以上触ったら血が出るから。……治ってないな。不安定になったら煙草吸ったり、自分や物を傷つけようとしたりすんの」
無意識でまた触っていたのか、皮がさっきよりも剥けている。
「あ……ごめん」
結賀は首を振る。
「いいよ、俺は怒んないから。怪我する前に来てくれたし。はぁ……ミカいなくてよかったな? そのクセ知られたくないんだろ? 今日は葵のところ泊まるって、あいつ」
あぁ、そうなのか。
「ハッ。いつもなら裏切り者の家かよって言うのにな。どんだけ落ち込んでんだよ」
背中を撫でられた瞬間、壊れたみたいに涙が溢れた。
「ええっ? 俺地雷踏んだ?」
「ちげ……情緒壊れてる」
結賀は俺を抱きしめる。
「そうだな、これ拒否しないくらいだもんな。仁、顔あげて」
「ん、あぁ」
抱擁を拒否しない俺の首を舐めて、結賀は笑う。ぼやける視界の中で見える顔は艶があって、妖しさに満ちている。
壊れた心を癒すみたいに舐められる。誰かに舐めてもらえるくらい、大切にされていることに安心する。歪んでいる。愛の受け取り方が。
俺の心は壊れている。壊れていないように見えても、何かがきっかけでぐちゃぐちゃになって、この有様だ。
それでも結賀は俺に会うたびにその心の傷を癒して笑うんだ。明日も生きろよって。
俺がお前なしじゃ、いつか自殺するかもしれないとわかっているからこそ。
「仁、えっと聞きたいことは色々あるんだけど……康弘さんとは話した?」
部屋の中に入るように促してから、結賀は聞いてくる。
「話した。喧嘩した。鈴音がいたから。泊めて」
「ものすごい説明雑だな? んーいいけど、三者面談は頼んだ?」
「……頼んだ」
結賀は俺の頭を撫でる。
「そうか、ならよかった。飯は食べてない?」
「うん。焼肉屋から逃げてきた。歩いて」
「ええ? なんで焼肉から……いや康弘さんと鈴音からか。妹だよな。康弘さんの連れの子」
俺の腕を触って尋ねる。皮が剥けているとわかったのかもしれない。
「鈴音が母さんから香水もらったって。しかもそれ、母さんが昔毎日つけてた香水と同じ匂い」
「仁、その腕これ以上触ったら血が出るから。……治ってないな。不安定になったら煙草吸ったり、自分や物を傷つけようとしたりすんの」
無意識でまた触っていたのか、皮がさっきよりも剥けている。
「あ……ごめん」
結賀は首を振る。
「いいよ、俺は怒んないから。怪我する前に来てくれたし。はぁ……ミカいなくてよかったな? そのクセ知られたくないんだろ? 今日は葵のところ泊まるって、あいつ」
あぁ、そうなのか。
「ハッ。いつもなら裏切り者の家かよって言うのにな。どんだけ落ち込んでんだよ」
背中を撫でられた瞬間、壊れたみたいに涙が溢れた。
「ええっ? 俺地雷踏んだ?」
「ちげ……情緒壊れてる」
結賀は俺を抱きしめる。
「そうだな、これ拒否しないくらいだもんな。仁、顔あげて」
「ん、あぁ」
抱擁を拒否しない俺の首を舐めて、結賀は笑う。ぼやける視界の中で見える顔は艶があって、妖しさに満ちている。
壊れた心を癒すみたいに舐められる。誰かに舐めてもらえるくらい、大切にされていることに安心する。歪んでいる。愛の受け取り方が。
俺の心は壊れている。壊れていないように見えても、何かがきっかけでぐちゃぐちゃになって、この有様だ。
それでも結賀は俺に会うたびにその心の傷を癒して笑うんだ。明日も生きろよって。
俺がお前なしじゃ、いつか自殺するかもしれないとわかっているからこそ。