一匹狼くん、 拾いました。弐
「仁、あじできた。とりあえず明日は葵のところでミカの報告会と、進路どうするか考えてくらいか。あと廉達にミカが今までされたことや葵のことを話すか考える」

 玄関にいる俺に声をかけてから、結賀は歩き出す。

「葵のことは伊織にも言ってないなら言わなくていいと思う。俺達が葵と和解したのはミカのためだから。こっちの都合で勝手にしたってわかったら、気分悪くするかも」

 振り向いてから結賀は首を触る。痛いのか、やっぱ。気になるだけではないよな。

「確かに。そろそろミカも廉の事情気になってるかもなぁ。もうあいつ招集するか。あと伊織も」

「いいけど……廉って過去のこと掘り下げられて平気なタイプ?」

 よくわかんねえ。

「俺には話してくれたけど、どうだろうな? ま、話したくなかったらそう言うと思うし、俺達が気にすることじゃねぇよ」

 確かに。

「結賀……俺、ミカに大学進めたいんだけど」

「奇遇。俺もそれ最善だと思ってる。頭いいし、夢ないなら四年で見つけるのが良いよな」

 その間に見つかるように、いろんなところ連れていってやりたい。

「問題は学部だな。ミカって結構なんでもできるからな。成績オール4くらい」 
 
 結賀の言葉に頷く。でも確か……。

「好きなのは多分国語と倫理。考えること多いと真剣な顔してるけど、口角は上がってる」

 結賀は頬杖をつく。

「学ぶことは多い方が楽しんだろ、今まで刺激が少なかったから」

 よくない理由すぎるだろ。

「一旦学部と進路はある程度ミカに任せる。転部ができる学校もあるし」  

 テーブルの前に座り、あじを食べながら呟く。白米と大根おろしもあったので、気遣いに感謝しつつ口に運んでいく。

「賛成。でも丸投げだと多分一生決まんねえから、オープンキャンパス付き合うかぁ」

 身体を伸ばしながら結賀は笑う。

「結賀、俺も大学行くかも」

「は? パティシエは?」

 結賀は目を見開く。

「なりたい。でも、母親と全く同じ仕事する人にはなりたくない。だから調理師とか栄養士もいいなって」

「確かに栄養のあるスイーツは売れそうだよな」

 うんうんと頷きながら、結賀はニカッと笑う。

「びびらせんなよー。パティシエやめんのかと思った」

「俺はあいつの真似がしたくないだけだ」

 母親と同じには絶対にならない。

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