一匹狼くん、 拾いました。弐
「うーん、全治三ヶ月くらい。相当痛いでしょ、これ」
夜間診療の受付を済ませると、結賀は医者にそう説明された。
「まぁ……はい」
手を見ながら言う。
医者はそのままギプスをつけて、包帯もしてくれた。
「その首もついでに見ていい?」
「っ!」
治療の痛みに、結賀は顔をしかめる。首にも巻かれて、結賀の上半身は包帯だらけだ。
「これ事故じゃないね、両方。本当はこんなことプライバシーに関わるから聞きたくないんだけど……学校か家庭に問題はある?」
腕を組んで聞かれてしまう。まぁそうなるよなぁ。
「父親が鬱病の治療中なだけです。でも父さんは優しいし、仕事も頑張ってます」
うんうんと医者は頷く。
「仕事を頑張ってるから、優しいから子供にとって良い親とは限らないの。無理はしないで、身体に気をつけて。また来てね」
親に言われたと明かさなかったから、医者は会話を切り上げた。
多分気づかれているな、親の犯行だって。でも結賀の気持ちを考えて、警察への通報はしないでくれた。
「……良い親ってなんなんだ。こんなことされてようと俺は父さんが好きだし、父さんを良い親だと思ってる」
席に座って会計を待っていたら、結賀は独り言のように呟いた。
「……俺だって裏切られるまでは、母さんを良い親だと思ってたよ。子供からしたら親なんてそんなもんだ。相当な悪人じゃない限りはな」
「死ぬまで父さんと暮らすのはやめた方がいいのかな」
「でもお前は捨てられないだろ、父親を。たとえ、父親のせいで死にかけても」
結賀の顔が歪む。
「事実を突きつけるなよ。言い返せないから」
頭を抱えて涙を流している。俺は何も言わず、結賀の背中を撫でた。