ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「事務所でしたよね」と早速歩き出したロザンナだったが、なぜか「あぁちょっと待って」とアルベルトに呼び止められた。
「口添えするにあたって、条件がふたつある」
「条件ですか?」
条件があったとは初耳だ。注意事項みたいなものだろうかと想像し、ロザンナは真剣な眼差しをアルベルトに返す。
「ひとつ。妃教育を優先すること」
やっぱりそういうことかと納得し、ロザンナは苦い顔をする。実はもう既に、妃教育に関する全てにやる気を出せないでいるのだ。
しかしここで了承しなくては先に進めないため、とりあえず頷き返す。
アルベルトは「よし」と呟き、続きを口にする。
「ふたつ。俺と一ヶ月に一回は必ずお茶を飲むこと」
「……い、今なんて?」
「俺との時間を作れと言っている。それくらいできるだろ?」
「本気ですか?」
渋い顔でロザンナが首を傾げると、アルベルトはすっと目を細めた。
「無理なら、俺も無理だ。ゴルドンの講義は諦めろ」
「なっ! 待ってください。……わかりました。三十分でも一時間でも、ご一緒させていただきます」
「短い。休日丸一日くらいの覚悟をしておけ」
アルベルトから眼差しで「さあどうする?」と問いかけられ、ロザンナはほんの数秒目を瞑る。