ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
試験に合格したその翌日、早速、ロザンナにとって最初の聖魔法の授業が始まる。
指示された教室の前で、テキストを抱え持ったまま足を止める。緊張で強張った口元に無理やり笑みを浮かべて、勇気とともに扉を開けた。
室内に一歩足を踏み入れると同時に、生徒たちの視線がロザンナに突き刺さる。騒々しかったのに一気に静まり返り、ロザンナは狼狽え立ち止まる。
教室の真ん中あたりで、ガタリと派手な音を立てて椅子から立ち上がった姿があった。
「ロザンナさん!」
顔を輝かせて大きく手を振るのはリオネル。隣に座っていた男子生徒を押しやり、「こっち、席空いてますよ!」と呼びかける。
隅っこや後ろの席も空いているため出来たらそちらに座りたかったけれど、名を呼ばれ続けるのに耐えられなくなり、ロザンナはリオネルに向かってのろのろ歩き出す。
まとわり付く視線を不快に思いながらもなんとか席までやってきて、ロザンナとリオネルと向き合う。
「私は後ろの席に座ります。……なので、どうぞ戻ってください」
まずはきっぱり言ってから、続けて席を追いやられ荷物を持って立ち上がった男子へとロザンナは微笑みかけた。