ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

ロザンナは馬車を改めて見上げてから差し出されたアルベルトの手を取り、「失礼します」と乗り込んだ。

向かい合わせに座ると、ほどなくして馬車が動き出す。


「学園が用意してくださったのかと思いましたが、どうやら違ったみたい。これは王宮の馬車ですよね?」


アルベルトが首肯した。

ロザンナは座り心地の良い座席を撫でたり、窓や戸枠の凝った装飾を眺めたりしながら、「だからこんなにも立派なのですね」とひとり納得する。

窓の向こうには、並走して馬を走らせる護衛の騎士団員がいる。その姿に騎士団に入った兄は元気にやっているだろうかと思いを馳せる。

第二騎士団に所属しているため、アルベルトならきっとわかるだろう。

ちらりと彼を見た途端、すぐに目が合い微笑みかけられる。おまけに紙袋を差し出してきた。


「昼食をとっていないだろう? 診療所近くのパン屋で買ったものだ」


ロザンナはじっと紙袋を見つめていたが、購入先を聞いて「まぁ!」と表情を輝かせる。

目で伺いつつ紙袋を受け取り、中に入っていた卵とハムをふんだんに使ったサンドイッチに満面の笑みを浮かべる。

< 131 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop