ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
しかしその姿はどこにあるのかロザンナには見つけられず、代わりに興味津々でこちらを見つめる男子生徒とわずかに顔を強張らせているリオネルが視界に映り込む。
アルベルトは集団の手前で足を止め、「ロザンナ」と呼び止める。
「それじゃあ頑張って」
振り返ったロザンナの頬に優しく触れてから、彼は踵を返して引き返していった。隣に並んだゴルドンへ、ロザンナは頬を摩りながら怪訝な顔を向ける。
「今のはいったい」
「自分の婚約者だと言いたかったのでは?」
「そんなの皆分かってますよ」
ロザンナのぼやきにゴルドンは笑いを堪えるように小さく肩を揺らしていたが、「そろそろ時間です」と別の引率の教師から声をかけられ、すぐさま「はい」と返事をする。
ポンとロザンナの肩を叩いてから、小走りで列の先頭へと向かっていった。
ロザンナは集団の後ろを進み始みながら、斜め前を行く女生徒三人の姿に目を止める。
彼女たちの表情には初日と同じように不満が滲んでいた。
「妃候補なんだから、お妃教育だけ受けていれば良いのに」
ぼそぼそと交わされる中で、はっきりと聞き取れた言葉にロザンナが目を見張る。