ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
男性の名前も知らないし、言葉を交わしたこともないのだが、がたいの大きいその姿は何度も目にしていて、覚えている。しつこく跡をつけられ、とても気味が悪かった。
「お願いします」と差し出された手に、きっとこれだと恐怖を募らせる。
男性からの誘いを受けてダンスをしたことはあっても、このような告白など今まで体験していない。
だからきっと、この手を取るか取らぬかが、生きるか死ぬかの分かれ道だろう。
できれば踊りたくない。けど、生き延びられるなら喜んで踊る。どっちだろう。男の手を険しい顔で凝視していると、「待ってくれ」と違う声がかかる。
男性が数人集まってきて、「俺もロザンナさんと踊りたい!」と口々に訴えかけてくる。
ロザンナはその光景に目を見張る。しかし唖然としたのはほんの一瞬、男性にモテていると気がついた途端、この調子なら九回目にして結婚できるかもと気持ちが舞い上がる。
ここは絶対に選択を誤ってはいけない。
絶対に見極めて見せるとロザンナがさらに慎重になった時、「お前は引っ込んでろ」とか「俺が先に踊る」などと男性たちの間に険悪な空気が漂い始めた。