ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「……それなら、私と私の父の存在が憎いのでしょうね」
ロザンナにとって喜ばしいことであっても、手にするはずのものが得られなかったアーヴィング親子にとっては、ある意味迷惑な話だろう。
思わず呟いたロザンナの言葉を聞いて、マリンは自嘲する。
「えぇ。あなたのご両親が襲われたと聞いたあの夜、もしかしたらこのまま私の父が宰相になるかもと期待してしまったほどにね」
「なんてことを」
咄嗟にロザンナはマリンの腕を掴んだ。両親の死を望んでいたとわかる発言に怒りが込み上げてくる。
しかし、そんなロザンナになどお構いなしで、マリンは続ける。
「けれどその後すぐ、致命傷を負ったはずのエストリーナ宰相が元気な姿で城に現れたって父が唖然としていたわ。しかもあなたが両親を助けたって言うじゃない。聖魔法が使えて、おまけに女神とまで崇められてて、大きな差をつけられたようで悔しかった」
ふつふつと沸き上がっていた怒りの中に疑問が生まれ、一気に冷静さを取り戻す。
じっと見つめてくるロザンナに気まずさを覚えたのか、マリンは勢いよく顔を逸らした。
「刺されてしまうくらい誰かに恨まれていたのでしょう? 自業自得だわ」