ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
パタパタと足音を響かせながら廊下を走り、階段で足を止めて長く息を吐く。
ロザンナはそっと唇を指先で抑えた。騎士団員が来なかったら、口付けを交わしていたかもしれない。
考えただけで胸の高鳴りがひどくなり、のぼせそうなくらい顔が熱くなる。
明日、どんな顔をして会えばいいのだろうか。
戸惑いに期待まで混在した感情で胸を膨らませながら、一気に階段を駆け下りていった。
翌日になっても、気持ちはまだ落ち着かないまま。
最初の授業を終えると同時に、教室前方から「ロザンナ・エストリーナ」と名を呼ばれ、ロザンナはハッと顔をあげる。
「はい!」と返事をし、自分を呼んだメロディと目を合わせると、廊下を指差して先に教室を出て行った。
廊下に来なさい。そう求められたのは理解するも、なんの呼び出しなのかがわからず、隣に座っているルイーズへ顔を向ける。
肩を竦めた友人に「行ってきます」とひと言呟き、ロザンナは席を立った。
廊下へ出るべく、花嫁候補たちの視線を感じながら教室内を移動する。
扉近くに座っていたマリンたちから好意的とは言えない目でじっと見つめられ、心に重苦しさを植えつけられながらロザンナは彼女たちの前を通り過ぎた。