ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
メロディは窓の近くに佇んでいた。まるで戸口から距離を置いているかのようで、ロザンナはわずかに首を傾げる。
「メロディ先生、どのような御用ですか?」
問いかけにメロディの目線が一度教室へと向けられ、そして、ロザンナにしか聞こえないくらいの声音で話し出す。
「王妃さまより、会いたいと申し出がありました」
上がりかけた驚きの声をロザンナは必死に堪えた。
ちらりと肩越しに見た戸口には、マリンの取り巻きが耳をそばだてている姿があり、ロザンナの声も自然と小さくなる。
「私とですか?」
「そうです。花嫁の決定まで半年を切りましたからね。一度あなたとお話をされておきたいそうです」
どちらにしても王妃からの呼び出しに背くことなどできるはずもなく、「……わかりました」とロザンナは頷く。
「この後の授業は、私から休みの連絡を入れておきます。……呼び出されたのはあなただけよ。よかったわね。でも浮かれて気を抜かないように」
真面目すぎて冷たくも感じていたメロディが見せた微笑みに、ロザンナの心に温かさが広がる。