ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「マリン様。アルベルト王子とのご婚約、おめでとうございます」
頭を下げた状態でじっとしていると、「顔を上げてちょうだい」とマリンが話しかけてくる。
しかしロザンナはその声音に引っ掛かりを感じ、すぐには動けなかった。やや間を置いてからゆっくりと上半身を起こして、探るような眼差しをマリンに向ける。
少し顎を逸らして自分を見下ろすマリンの眼差しは先ほどの声音と同じように高圧的で、ロザンナの心に怯えが広がっていく。
「アルベルト様はあなたではなく私を選んだ。この事実をちゃんと理解されていますよね?」
「え、えぇ。もちろんです。ですから私は先ほどおめでとうございますと、祝福の言葉を述べさせていただきました」
わざわざ何を確認しにきたのだろうかと不思議に思うロザンナへと、マリンがゆっくり歩み寄ってくる。
「それならあなたはどうして……、アルベルト様の花嫁になるのが叶わなかったというのに、そんなに楽しそうに笑っていられるの?」
「わ、私、笑っていましたか?」
「それはもう満面の笑みで男たちと踊っていたじゃない。みんなが私とアルベルト様よりもあなたに注目してしまうほどに」