ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「もうそろそろお時間ですね」とトゥーリの嬉しそうな声に続けて、控え目に扉が叩かれた。訪ねてきた人物にロザンナは目を大きくさせる。
「メロディ先生から来てくださるなんて! 最後に一年間のお礼をしに行こうと思っていたところでした」
「そうでしたか。でも、お礼だなんて」
そう言ってゆるりと首を横に振ったメロディが憔悴しているように見えて、ロザンナは慌てて側まで歩み寄る。
「どうかなさいましたか?」
「……えぇ。私も最後にお話がしたくて」
ロザンナの心配そうな眼差しを受けて、メロディがちらりとトゥーリに視線を向けた。
すぐさまトゥーリは察して、「私は外におりますね」と部屋を出て行った。
「ごめんなさいね。パーティーまで時間があまりないのに」
「平気です。準備はできていますから」
そこでわずかに見つめ合う。ロザンナは口を閉じ、メロディは息を吸い込んだ。
「自分の無力さにこれほど打ちのめされたことはないわ。ごめんなさい」
突然メロディに頭を下げられ、ロザンナは慌てふためく。
「止めてください」と腕に触れたロザンナの手をメロディは両手でしっかりと包み込んだ。