ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「アルベルト王子がいらっしゃいました」
それぞれの思いに終止符を打つかのように学長の声が響く。音楽が奏でられ、彼の入場の知らせにロザンナの鼓動が高鳴り出す。
ゆっくりと押し開けられた扉からたまらず目を逸らすと、再びルイーズの手がロザンナの背中に優しく触れた。
「気持ちをしっかりね」
言いながらポンポンと軽く叩かれ、ロザンナはルイーズに笑いかける。
「ありがとう」
やがてアルベルトが姿を現し、広間の至る所から女性の黄色い声が上がる。
戸口で一度足を止め短く息をついてから、彼は前へ進む。表情はひどく険しく、ロザンナの胸まで苦しくさせた。
眼前を通り行く彼へ礼を尽くすように、心を込めてロザンナは頭を下げた。
明るい旋律に虚しさを覚えた時、ロザンナの伏した視界の中にアルベルトの靴が映り込む。前回同様彼は目の前で動きを止め、爪先がロザンナへと向けられる。
ロザンナはゆっくりと顔をあげて、アルベルトを見つめ返した。
前回は分からなかった彼の葛藤が伝わってきて、……ロザンナは小さく笑いかける。「私は大丈夫です」と伝えるように。
「ロザンナ」