ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
焦がれるようにその名を口にすると同時に、アルベルトがロザンナをきつく抱きしめた。
それを見て、ロザンナの取り巻きたちが「きゃっ」と黄色い声を上げる。
「ア、ア、アルベルト様!?」
抱きしめられた瞬間、頭の中が真っ白になった。緊張で身動きすらできないロザンナと改めて目を合わせ、アルベルトは力強く言葉を紡ぐ。
「これ以上は耐えられない。お前以外を選ぶなんて無理だ」
そう言って、彼はロザンナの前に跪いた。自分に向かってそっと差し出された手を、ロザンナは唖然と見つめる。
「ロザンナ、俺と結婚してくれ」
言葉は形式張ったものではないが、間違いなく求婚されている。
嬉しさよりも、過去と未来を無理やりねじ曲げてきたアルベルトの手をこのまま取ってしまって本当に良いのだろうかと、ロザンナの中で不安が膨らむ。
「お待ちください!」
そんな中、マリンが苛立った声を大きく響かせる。
アルベルトのために開けられていた道へと彼女は飛び出して、止めようとする騎士団員をがむしゃらに振り払いながらふたりに向かってずんずん進んでくる。