ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
アルベルトはその様子をちらりと横目で見るも、差し出した手を引っ込める様子はない。

ロザンナは彼の手と迫りくるマリンを交互に見つめたのち、覚悟を決めてアルベルトの手に自分の手を重ね置いた。


「喜んでお受けします」


ロザンナが発したひと言でアルベルトは安堵の笑みを浮かべ、一気に場がわき上がる。

しかし、飛び交う声はふたりを祝福するものだけじゃない。

マリン本人とマリン側から非難の声が上がり、それにロザンナ派が噛みつくように反論すると同調の声が大きく膨らむ。

ロザンナの手を掴んだままアルベルトが立ち上がると、駆け寄ってきたマリンがアルベルトの腕を掴んだ。


「アルベルト様! 何かの間違いですよね? 妃に一番ふさわしいのは私だと、講師たちからもお墨付きをもらっています」


アルベルトに必死に訴えかけてから、続けてロザンナを睨みつける。


「図々しいわよ! そこは私の場所。いつまでアルベルト様の隣りにいるつもり?」


確かに、アルベルトの隣りに立って幸せいっぱいに笑うのはマリンのはずだった。

怒りに震えた声にロザンナが体を竦ませた時、アルベルトがマリンに向かって不機嫌を隠さずに話しかけた。

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