ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています


「図々しいのはどっちだ。花嫁が決まった今、いつまで気安く俺に触れている。不敬極まりない」


マリンは息をのみ、アルベルトから手を離してふらりと後ずさった。しかし、その顔は納得などできないかのように歪んだままだ。

ロザンナは繋いだ彼の手へと視線を落とす。見つめ続けていると、きゅっと彼から軽く握り返され、勢いよく視線を上げた。

すぐに目が合い微笑みかけられ、アルベルトの手をとったのは自分なのだと強く実感する。

生きているのは今この瞬間。過去じゃない。

ロザンナは息を吸い込み、マリンへ顔を向ける。


「アルベルト様は私をお選びになった。この事実をどうか理解し、受け入れてください」


粛々と告げて最後に深く頭を下げたロザンナの姿に、マリンは唇を噛む。

これ以上事を荒立てたくない。このまま引き下がってほしい。そう願ったが、マリンの怒りはやはりおさまらない。

彼女はくるりと身を翻し、その場にいる人々へと大声で話しかける。


「私は彼女より優秀よ! 先生たちだってそれを認めている。でも彼女は違う! これまでずっと、私との差を父親の力で埋めてきた。そうやって自分の思い通りに事を進めてきたのです。女神だなんて笑っちゃうわ!」


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