ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
けれど怯んだのは一瞬だけ、収めきれない怒りに任せて、マリンはロザンナに掴みかかろうとする。
反射的に体を硬くしたロザンナの前へとアルベルトは進み出て、マリンの手を掴み取る。捻り上げたあと、床へと突き飛ばした。
「連れて行け」とのアルベルトの命に従い、すぐそばに立っていた騎士団員がマリンの腕を掴んでやや強引に立ち上がらせる。
「触らないでください!」と騎士団員を睨みつけたり、「私を選ばなかったことを絶対に後悔しますわよ」とアルベルトに怒りをぶつけたりしながら、マリンは騎士団員に引きずられる格好で大広間を出ていく。
「見苦しいな」
アルベルトのぼやきを聞いて、ロザンナは複雑な気持ちになる。
確かに、髪を乱して食い下がるマリンの姿は見ていられなかった。彼女の取り巻きたちも、最後は困惑顔だった。
大広間を出る直前に自分に向けられたマリンの怒りに満ちた眼差しを思い出してロザンナが身を震わせた時、学長が「静粛に」と手を叩いて学生たちの注意を引いた。
「少しごたついてしまったが、今日がめでたい日に変わりはない! 皆さん、アルベルト王子とロザンナさんに盛大な拍手を!」