ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
わっとわき上がった拍手に包まれ、ロザンナは戸惑うようにアルベルトを見上げた。
アルベルトはロザンナの腰へと手を回し、温かな拍手に対して「ありがとう」と微笑み返す。
ロザンナもそれに倣おうとするが、照れが邪魔してうまくいかず、はにかむだけに終わった。
止まらない拍手に煽られるように演奏にも熱が入り、やがてアルベルトにエスコートされ、ロザンナは踊り出す。
「私を選んでくださって、ありがとうございます。夢のようです」
本当はマリンを選ばなくてはいけなかったのではと想像し、それでも選んでくれた彼の気持ちが嬉しくてたまらない。
本当に夢のようだ。いつか覚めてしまうのではと考え、ロザンナはハッとする。
ここで、めでたしめでたしとはいかない。アルベルトが花嫁を選んだ後、生きるか死ぬかの更なる山場がロザンナには訪れるのだ。
両親も生きていて、アルベルトの花嫁になれ、聖魔法師への夢も持っている。まだ最期を迎えたくない。
急に怖くなって、ロザンナはアルベルトに触れている手に力を込めた。あわせて、何か危険なものはないかと落ち着きなく周囲を見回す。