ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
そして、騎士団員に捕らえられても暴れ続ける伯爵にため息を投げかけてから、立ち尽くしていたロザンナへと顔を向け、顔を青くさせた。
「ロザンナ!」
アルベルトが叫んだ理由を理解するよりも先に、ロザンナは横から乱暴に腕を掴み取られる。
いつの間にかそばに騎士団員の男が立っていた。
しかし格好こそ騎士団員だが雰囲気も力も荒々しく、それはまるで城でロザンナを襲ったあの男のようだった。
「その女を殺れ!」
伯爵は騎士団に抑えられながら、驚きと恐怖で悲鳴さえ出ないロザンナを指差す。
このまま終わってしまう。そう感じ、ロザンナはがむしゃらに男の手を払い退けようとするが、足が段差から滑り落ち、息をのむ。
足元は大階段。そのままぐらり傾いた体が、空中へ放り出された。覚えのある感覚に、ロザンナの目に涙が浮かんだ。終わってしまった、と。
最期にもう一度だけ、アルベルト様の顔が見たい。
そう願った瞬間、ロザンナの体は温もりに包み込まれた。力強い両手で逞しい胸元へとしっかりと引き寄せられ、きつく抱きしめられた状態で階段を転げ落ちていく。
階段下の胸像の台にぶつかり、鈍い音が続き、僅かな呻き声が発せられた。