ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「アルベルト様!」
アルベルトの身体の下から上半身だけ這い出して、ロザンナは泣き叫ぶように呼びかける。
騎士団員のひとりも顔面蒼白で階段を駆け下りてくる。
「しっかりして! お願い死なないで。私を置いて行かないで!」
こんな終わり方は絶対にダメだ。ロザンナは涙を拭って、うつ伏せのまま動かないアルベルトへ手を伸ばす。
頭部に出血はない。強打したのは背中だろうか。
アルベルトの上着へと手を掛けると同時にゆっくりと右腕が動き、ロザンナは目を見張る。そのまま右手を床に手をつき、アルベルトが体を起こした。
「大丈夫、ですか?」
「転げ落ちたから腕は少し痛いが、平気だ。これくらいじゃ死なない」
互いにぺたりと座り込んだまま向き合う。確かに腕は痛そうにしているが、他は何ともないようにロザンナの目には映った。
「で、でも顔が。落ちてきましたよね。ぶつかったらとても……えっ」
近くに落ちているだろう初代学長の頭部を探すも見当たらない。数秒後、台座の向こう側に転がっている頭部と目が合い、ロザンナは脱力する。
どうやら頭部はアルベルトには直撃せず、反対側へと転げ落ちたらしい。