ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています


例えるなら、真っ暗な水の中を漂っていた体が、ふたつの温かい大きな手ですくい上げられ、真っ白で柔らかな小羽を敷き詰めた籠の中へと移し替えられたような……。

ロザンナは柔らかなベッドの中で、ゆっくりとまぶたを持ち上げた。ぼやけた世界が徐々にはっきりと形をなしていく。


「……様。……ロザンナ様っ!」


間近で呼びかけられ、ハッと目を見開いた。今にも泣き出しそうな顔で自分を見下ろしているのは侍女のトゥーリ。

パーティーに付き添い人は不可なため顔を見るのは数時間ぶりだが、ロザンナにはなんだかとっても懐かしく思えた。


「ロザンナお嬢様。お気づきになられて本当に良かった」


トゥーリはベッドの傍に膝をついてロザンナの右手を両手で包み込む。目を涙でいっぱいにして震える声で囁きかけてくる。

「大丈夫よ」と言いかけて、ロザンナは湧き上がった違和感に眉根を寄せる。

眼球だけをキョロキョロ動かした後、力尽きるように目を閉じる。そのままロザンナは、不貞寝でもするかのように左手で引きあげたブランケットに潜り込む。

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