ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「ロザンナお嬢様、どうかしましたか? どこか具合が悪いのですか? お嬢様! あぁ、どうしましょう。誰か! 誰かいませんか!」
すぐにドアの開閉音と駆け寄ってくる足音を聞きながら、ロザンナはブランケットをぎゅっと握りしめる。
「何かあったのか?」
「ロザンナお嬢様が、先ほどお気づきになられたのですが」
「そうか良かった。……もしかしたら、頭を打ったから記憶が混濁して動揺しているのかもしれない。ひとまず父さんか母さんにロザンナが目覚めたと報告してきてくれないか」
「わかりました!」
ぎゅっと掴まれていた右手から温かな手が離れていく。
慌ただしい足音が部屋を出て行きトゥーリの気配が消えると、残った彼がベッドに腰かけてブランケットの上からロザンナの肩に触れる。
「大丈夫か?」
気遣う声音に、ロザンナは小さく息を吐く。そして現実と向き合うべく勢いよくブランケットを払い除けた。
「……ロ、ロザンナ?」
見下ろすようにベッドに座っているのは間違いなく兄である。……それも十三歳の。
ロザンナはゆらりと上半身を起こし、「ふっ、ふふっ」と短い笑い声を発する。