ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

この場では、九歳の出来事であるこれが正解だ。

「あぁ、確かに落ちっぷりは見事だった」と言われ、ロザンナは膨れっ面でダンを睨みつける。するとダンは笑みを浮かべながらロザンナを軽く抱き締め、ホッとした声で続ける。


「クッキー、ありがとう。とっても美味しかった」


感謝の言葉にロザンナは表情を和らげた。この感謝の言葉は十回目だけれど、何度聞いても心が温かくなる。


「籠ごと放り投げてばら撒いてしまったのに、お食べになったのですね」

「俺の誕生日の贈り物として作ったんだって料理長に教えてもらったから、つい。全部ロザンナひとりで作ってくれたんだってな」

「はい。心を込めて作りました。だから早く渡したくて、つい。ダンお兄様、十三歳のお誕生日おめでとうございます」


ロザンナはダンの言い方を真似して小さな笑い声を挟んだ後、お祝いの言葉を口にする。体を離して笑いかけると、ダンも「ありがとう」と照れ臭そうに微笑み返した。

階段から落ちた後、母ミリアとトゥーリは顔面を蒼白にし、父スコットは必死に声をかけ続けたのだと、どれだけ大変だったかを滲ませながらとダンが話し出す。

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