ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
確かお兄様は「ロザンナ死ぬな」と泣きじゃくっていらっしゃったのよねと、鼻水や涙の跡を完全に消し去り何もなかったような顔をしているダンへ、ロザンナはにやり笑いかけた。
しかし、そんな表情はすぐに引っ込めて、「心配をかけてしまってごめんなさい」とロザンナが謝罪の言葉を口にしていると、勢いよく扉が開き、両親が部屋になだれ込んで来た。
「ロザンナ! 大丈夫か!?」
スコットがベッドの傍らで片膝をつき、ロザンナと視線の高さを同じにする。ミリアも中腰でスコットの横に並び、「大丈夫?」と心配そうにロザンナを見つめる。
「お父様。お母様」
目も前までやってきた両親の姿に、胸が熱くなる。自然とロザンナの目から涙がこぼれ落ちていった。
ミリアが慌てて「どこか痛いの?」と問いかけながら、ロザンナの濡れた頬に触れる。
その瞬間、ロザンナは両手を目いっぱい伸ばしてふたりにしがみつき、「平気よ」と声を震わせながらしばらく涙を流し続けたのだった。
その夜は、小さな体が階段を転げ落ちて受けた痛みと、十六歳の最期の瞬間の記憶に苦しめられてあまり眠ることができなかった。
気持ちまで弱りそうで、ロザンナは朝食を終えると同時に庭へと散歩に出た。