ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
エストリーナ邸は王都の南地区にある。塀で囲まれた敷地の中に、二階建ての屋敷と手入れの行き届いた広い庭。
庭には小さいながら噴水もあり、その傍にはガゼボが建っている。内部には丸テーブルに猫足チェアがふたつ置かれていて、その片方へとロザンナは腰掛けた。
するとすぐに庭師のトムがやってきて、体調を聞くと同時にテーブルに花瓶を置いていった。
花瓶に飾られているのは花弁の大きな赤い花。ロザンナは花へと顔を近づけて、漂ってくる甘い香りで胸を満たすように息を吸い込んだ。
「やっぱりここは落ち着くわ」
テーブルに頬杖をついて、たくさんの花が咲き乱れる庭を目で楽しみながら、ロザンナはうっとりと呟いた。
しばらく庭を眺めていると心も落ち着きを取り戻す。ロザンナは次なる課題に取り組むかのような気持ちで、背筋を伸ばし腕を組んだ。
十回目の人生をどんな風に生きていこうか。
そう考えて真っ先に決まるのは両親のこと。繰り返しの始まりは、いつもダンの十三歳の誕生日から。
そして毎回、両親の姿を目にするたび、ロザンナは涙が止まらなくなる。
生きているふたりに再び会えたことへの喜びと、五年後にやってくる避けられない別れに胸が締め付けられるのだ。