ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

父の思いに触れるたび、ロザンナは申し訳なくてたまらなくなる。アルベルトの花嫁はマリンで、その期待にはどう頑張っても添えないのだから。

心が重苦しくなるのを感じて、ロザンナは勢いよく顔をあげる。

随分昔に感じた悔しさや悲しさを振り切るように力強く一歩前に出て、アーヴィング伯爵に対し膝を折って挨拶する。


「娘のロザンナです。父が大変お世話になっております」


最後ににこりと笑って見せたのち、ロザンナはマリンへと体を向け直し、恭しくお辞儀をした。するとマリンも慌てて挨拶を返してきた。

父には申し訳ないが、ここは自分の今後のために愛想良くさせてもらう。

これから勉学に励みたい。花嫁候補としてアカデミーの門をくぐることになっても、彼女とは決して対立せず、時間を有意義に使うのだ。

煽らず騒がず穏便には今回も続行である。

ロザンナがマリンのドレスや髪飾りを褒め始めると、アーヴィング伯爵は「父親と違って見る目があるようではないか」とほくそ笑む。

それに対し、スコットは引きつった笑みを浮かべて、「あぁ、そうだいけないいけない」とロザンナの肩に手を乗せた。

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