ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

このような場では毅然とした表情を崩さないアルベルトだが、ほんの一瞬でも素を見せてしまうほどに、彼は父に心を許しているのだ。

自分にはわからないような絆がふたりの間にあるのかもしれないと考えたところで、アルベルトがロザンナへと向き直った。


「ロザンナ嬢、後ほどぜひ、私と踊ってください」

「はっ、はい! 喜んで」


少し緊張気味にロザンナが返事をすると、「それではまた」と囁いてアルベルトは別の来客の元へ歩き出した。


「ロザンナ、お褒めの言葉をもらえて良かったな! あの感じからして、間違いなく好印象だぞ!」

「……そうかしら」


興奮状態の父に、ロザンナは素っ気なく返す。毎回、「可愛らしい方ですね」と褒めてくれるし、ダンスも誘われる。

もちろん印象が悪かったら言ってはもらえないだろうけれど、父のように浮かれることはロザンナにはもうできない。

きっと今も同じようなことを言ってるに違いない。

ロザンナは白けた顔でそんなことを考え、他の父娘に話しかけているアルベルト王子から視線を逸らしたのだった。



約束通り、ロザンナがアルベルトとのダンスを終えた後、スコットが久しぶりに顔を合わせたらしい友人とのお喋りに没頭し始めた。

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