183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
深いため息をついた彼は、真衣を離すと、拾い上げた鞄を押しつけるように渡してきた。

「オタク女め」

悪態まで吐き、すぐ横にある洗面脱衣室のドアをやる気がなさそうに開けている。

(怒ってるの? それとも呆れてる? 柊哉から仕掛けておいて、なにその態度。わけわかんない)

「先にシャワー浴びる。五分で出るから、その間に飯の用意しといて」

「急に俺様。なんなのよ、もう……」

閉められたドアに向けて頬を膨らませたが、きっと疲れているのだろうと思うことにする。

空腹でイラついているだけかもしれない。

今日の夕食のメインは豚の生姜焼き。暑いので、冷奴やキュウリの酢の物などのさっぱりとした副菜を四品つけた。

自分ひとりなら、こんなにおかずを用意しない。

柊哉のために作った料理を並べに、ダイニングへ向かう真衣であった。


リビングの時計が二十一時三十分を指していた。

夕食を食べ終える頃には柊哉の機嫌は直っていて、「今日もうまかった」と満足げな吐息を漏らしている。

綺麗に空になった皿を見れば、作ってよかったと、真衣の心にも穏やかな喜びが広がる。

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