183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
(紳士的。さっきの電話は、あまりにも相手がしつこかったから、あえて厳しく突き放した、ということにしておこうか。こっちの彼が、私の知ってる副社長。こっちを信じよう……)

そのように自分を納得させ、壊れた彼のイメージを修復した真衣であったが、廊下へと踏み出そうとしたら、進路を邪魔するようにドア口に長い片足が突き立てられた。

顔を寄せられ、耳に脅すような低い声を吹き込まれる。

『誰にも言わないという約束を守れよ。社内での俺の評判を落とそうとするなら……どうなるか、わかるよな?』

(誰かに話したら、クビ……?)

どうやら彼には二面性があるようだ。

おそらくこっちが本性で、それを悟ると、直したばかりの副社長のイメージがまた、ガラガラと音を立てて崩壊したのであった――。

三日前のあのことがなければ、きっと見合い相手が副社長ということに驚きはしても、ここまで動揺することはなかっただろう。

逃げ出したいという思いから、うつむいてしまえば、座卓を挟んだ正面に絹代たちを座らせた祖父が、真衣を叱った。

「挨拶せんか。絹ちゃん、すまんなぁ。真衣のやつ、どうも緊張しているようで」

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