183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
「私の夫は真面目で、家族思いのいい人だったわ。三人の子宝に恵まれて、孫も、ひ孫もいるのよ。私は幸せです。勲さんもそうでしょう?」

「ああ。先立たれてしまったが、わしもいい嫁をもらって幸せだったさ。真衣が泣く必要はない。わしらが駆け落ちしておったら、お前は生まれておらんぞ」

勲の清々しく豪快な笑い声が座敷に響く。

その声を聞く限り、悲恋に終わった大恋愛も、勲の中では納得いく形で収まっているのだろう。

そう思うと、真衣の涙も引いていく。

(最初は嫌々だったけど、この話を聞けたから、お見合いに来てよかった。これからはおじいちゃんのこと、もっと大事にしよう……)

勲の想い人である絹代のことも、尊敬できる素敵な女性だと感じた。

彼女の孫だと思えば、副社長に対する悪いイメージもいくらか回復する。

「ハンカチ、洗ってお返しします」と真衣から声をかければ、彼の口元が穏やかに笑む。

「君にあげる。捨てても構わない。ハンカチに不自由してないから」

「そうですか。ありがとうございます」

ごく普通に会話できたことも、見合いの効果か。

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